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成分分析ブランディング生産者のストーリー 笠原餅店編

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やわらかさとなめらかさ、口溶けのよさが際立つ「笠原餅店」の餅


子供から大人まで日本人が愛して止まない食材のひとつである「餅」。毎日食べるものではないかもしれませんが、お雑煮やおしるこをはじめ、鍋やおかずの具材、また軽食やスイーツとして、通年を通して食べる機会は少なくないと思います。

そんな餅ですが、業界のマーケット状況を見てみると、2001〜2017年の間に、市場規模は514億円から477億円と微減なのに対して、単価は38%下落、4〜29人の小規模の事業者数は37%減(参考:経済産業省 2018年工業統計調査)。この数字から、工場生産の安価な商品がマーケットを席巻していることが分かります。


釜戸と薪火を使った昔ながらの餅づくり

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宮城県大和町にある「笠原餅店」は、創業から60年あまり、伝統の製法で餅づくりを続ける専門店です。

店主の笠原公平さんが手がける餅はこだわりの塊。おいしさへの追求はなんと米づくりからはじまります。笠原家で丹精込めて育てられたもち米は、宮城のきれいな水と空気をたっぷり吸い込み一粒一粒がふっくらつやつや。

この自家製米をできる限り使ったもち米を、昔ながらの製法でじっくり蒸し上げていきます。蒸しの工程で使われるのは、釜戸と薪火。炎の様子をつねに見守り微調整を加える繊細な火入れは、まさに職人技です。業界の99.9%がガスの蒸し機を採用している中で、あえて手のかかる製法にこだわるのは、ひとえに極限まで米の旨みを引き出すため。

さらに、大手メーカーの工場生産では蒸したもち米を機械で切り混ぜて成形する場合があるところ、笠原餅店では杵でつくように米粒をつぶす餅つき機を使うことで、つぶ感があるのになめらかで、空気をほどよく含むふっくらとした食感に仕上げています。


”物性”と”消化性”を分析して証明された食感のよさ

「これが一番おいしいつくり方だ」と胸を張る笠原さん。実際に食べればそのおいしさは明白ですが、このおいしさを証明すべく、成分分析にかけてみます。

今回注目したのは、”物性”と”消化性”。比較対象としたのは、工場生産の国内大手メーカーA社の切り餅です。

まずは、”物性”で、硬度と付着性を分析します。硬度は荷重にて測定し、笠原餅店の切り餅の硬度は0.24N/㎡であり、工場生産の国内大手メーカーA社の切り餅の0.99N/㎡と比較して0.24倍(約4倍やわらかい)でした。また、付着性は荷重とともに引き離す力にて測定し、笠原餅店の切り餅の付着性は478.9J/㎥であり、工場生産の国内大手メーカーA社の切り餅の912.1J/㎥と比較して0.53倍(約2倍付着しづらくなめらか)でした*1。つまり、笠原餅店の餅は工場生産の国内大手メーカーA社の切り餅と比べて、やわらかさが約4倍、なめらかさが約2倍。やわらく食べやすいのに、口の中でべたつかないので喉に詰まりにくいという心地よい食感が、数字で証明されました。

また、”消化性”については、餅を人口唾液(アミラーゼ:消化酵素)に浸漬させ、餅のでんぷんがグルコース(糖)に分解された量を調べることで測定します。この結果、3時間後のグルコースの値が工場生産の国内大手メーカーA社の切り餅の1.24mg/gと比較して、笠原餅店の切り餅は1.91mg/gであり、約1.5倍も消化されやすいことが分かったのです*2。消化されやすいということは、口溶けがよいということ。さらに、糖に変わりやすいということは、より甘みを強く感じられることを表します。

*1, 2:分析数値については小数点第3位を四捨五入し記載。倍率については、四捨五入しない数値を元に算出。


職人技に価値をつけおいしい餅づくりを次代に継承したい

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職人の技術の高さを価値に転換し、相場の5倍の金額を設定したハイブランドな餅ブランドを新たにスタート。有名シェフやパティシエ、フードコーディネーターたちとコラボした「THE OMOCHI」という新たなブランドも立ち上げました。

発表初日にTHE OMOCHIのアレンジレシピは10,000ツイートされ、笠原餅店の切り餅の年商を2日で達成するなど、売り上げは上々です。さらに、成分分析で特徴が明確化したことから、自社の商品に合った調理やアレンジの提案もでき、お客さまに商品をすすめやすくなりました。高級ブランドとのコラボレーションでお声がけいただけるようになっています。

笠原餅店の目標は、おいしい餅づくりを次代に継承すること。「職人技に価値をつけ、職人が持続できる価格で、本当においしい餅を届けることが私のミッションです」と笠原さんは語ります。シンプルな食材だからこそ、そのおいしさは素材や製法に大きく左右されるもの。笠原餅店は、これからも手間ひまかけた丁寧な餅づくりで、餅の本当のおいしさを多くの人々に、そして未来へと伝えていきます。

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笠原餅店の目標は、おいしい餅づくりを次代に継承すること。

「職人技に価値をつけ、職人が持続できる価格で、本当においしい餅を届けることが私のミッションです」と笠原さんは語ります。

シンプルな食材だからこそ、そのおいしさは素材や製法に大きく左右されるもの。笠原餅店は、これからも手間ひまかけた丁寧な餅づくりで、餅の本当のおいしさを多くの人々に、そして未来へと伝えていきます。